亡夫の墓に参る。
先日ヨウと、2時間ほど高速バスに乗って、私の地元へ行きました。
12年ぶりに、亡夫の墓参りをする為です。
いつか、共に人生を歩む人と出会ったら、一緒に行こうと思っていたけど、いつの間にかこんなに歳月が経っていました。
ヨウも、私の亡くなった夫に挨拶したいとずっと言ってくれていたので、それは二人の念願の日でした。
駅でレンタカーを借りて、途中で妹を拾い、亡夫のお墓のある郊外まで車を走らせました。
長く地元を離れていた私は、もう土地勘がなくなっていて、目的地にたどり着くことさえままならなくなっていました。
JAの販売所で花を買うと、私たちは、ナビを頼りに、田んぼの中にポツンとある地元の集合墓地にたどり着きました。
墓石にかすかな見覚えはあったけど、私はもうあたりの景色も何もかも、すっかり忘れてしまっていました。
小雨ぱらつく中、花を替え、お線香を上げ、そして僧籍をもっているヨウがお経をあげてくれました。その後ろで妹とじっと手を合わせていると、不思議な気持ちになりました。
ガンで余命半年と宣告された妹と、障がいのあるパートナー。
そして、未だに定職にも就かず宙ぶらりんな私。
なのに、なぜ、こんなに心静かなんだろう…。
多分…すべきことにはすべきタイミングがちゃんと用意されていて、そしてそれをなしとげたとき、ものごとはひとつひとつあるべき場所におさまっていくのでしょう。
それは、実にすっきりとすがすがしい心持ちを誘うのです。
ひたすら優しかった夫。
あなたの導きで、私はやっと愛する人たちと、あなたのお墓に参ることを許されました。長い間こうしたかったけど、できなかったの。
ありがとう。ごめんなさい。許して下さい。愛しています。